片流れ屋根「小屋組」(こやぐみ)の工程その1「屋根下パーツづくり」をお届けします。
タダでさえ手間がかかると言われる「小屋組」でしたが、やっぱりいろいろと工程が多く、想定していた以上に時間がかかりました。
小屋づくり初心者なのに室内(壁・天井)に断熱材を入れたり、屋根下に通気層を設けたい!!なんて考えたところも影響しています。
作業期間は天候に恵まれて、工程を順調に進めることができたのがラッキーでした!!
設計→材料拾い出し→材料購入→材料運搬→各パーツの材料加工→屋根下・垂木パーツ組み→小屋組み、の順となります。
材料加工は、実際には壁パネル「枠組み」もまとめて切り出し・加工しています。が、
記事をわかりやすくするために「壁・屋根」を分割して各セクションごとにまとめています。
・片流れ屋根:設計(通気層を作る理由)、断熱材で快適な小屋を目指したい!
・片流れ屋根:小屋組み:パーツ加工(垂木・転び止め・通気層等)
・使用した材料、工具類
完全独学・素人施工の様子をお届けしますので、良い子はマネしないでね!
※基本的に素人施工なので技術的に保障されるものではありません。参考とされる場合、くれぐれも自己責任で施工して楽しんで下さい。
片流れ屋根・設計(通気層を作る理由)、断熱材で快適な小屋を目指したい!
通気層と断熱
小屋の屋根下に「通気層をつくる理由」は「断熱材」をいれるから!!です。
せっかくDIYで小屋づくりするので、
(1)少しでも快適な小屋空間を目指したい
(2)断熱作業もやってみたい
とのことで、素人ながらテキストやネット情報などを参考にして考えました。
【断熱とは】
熱が逃げるのを防ぐとともに、外部からの熱を遮断する
簡単にいえば、断熱することで熱の移動を抑えることができる
断熱は内部と外部の温度差による結露対策もあわせて考慮する
表面温度が低い部材に水蒸気が触れると結露を起こす
そのため断熱をして表面温度が低くならないようにする
【通気層とは】
室内から排出された水蒸気を対流によって屋外に排出する
屋根断熱では、屋根のすぐ下に通気層を設け、その下に断熱材を入れて熱気がすぐに排出できるようなつくりとすることで日射の影響を軽減できる
小屋づくりの当初から断熱材を入れる計画で進めてきました。
壁の断熱は小屋が建ってから内装作業でゆっくり施工できるので心配してないのですが、屋根や床の断熱は、あとから施工することができなかったり、できたとしてもかなり手間が掛かったりするので、はじめから計画しておくことが重要です。
片流れ屋根・小屋「屋根断熱・通気」
屋根断熱と通気層は、垂木「2×6材・幅140mm」に収まるようにしました。
合板12mm(オレンジ色)の部分が断熱層(赤色)となり、その上部が通気層です。
【垂木(たるき)とは】
屋根下に並べる角材のこと、屋根板はそのままでは強度が足りないので、下に角材を並べます。
小屋組の一部で、屋根の野地板のすぐ下に、屋根の一番高い箇所である棟木(むなぎ)から軒桁(のきけた)にかけて、斜めに取り付けられる部材のこと
片流れ屋根 小屋組み:材木加工(垂木・転び止め・通気層等)
屋根下パーツ 垂木(バードマウス加工)
小屋の屋根は、床6畳に対し、ひとまわり(455mm)軒を出すことで雨が直接外壁に当たらないようにしました。
床6畳に対し屋根10畳です。軒を出すって施工面積が大きくなるのでコストアップ!です。軒がない・軒が小さい住宅が増えた理由が分かります。
とはいえ、屋根が張り出した軒のある小屋がカッコイイし好きなのと、外壁に雨が直接あたりにくい環境は、外壁を保護することにつながるので屋根10畳をつくります。
小屋組みに使う材木を加工します。
垂木には、2×6材(12ft、3650㎜)を使います。
長いので運搬が大変!!
片流れ屋根の勾配は、2寸勾配です。
2寸勾配は角度にすると約11.3°となり、垂木等を加工する際の基本角度となります。
角度は図のように簡単に出すことができます。
曲尺(かねじゃく)をつかって、10:2をつくり、斜めに引いた線が2寸勾配となります。
10:3にすると3寸勾配、10:4にすると4寸勾配となるわけです。
簡単でしょ!!
垂木の傾きは屋根の2寸勾配となり、壁の上枠の水平材と接合しなければなりません。
垂木に欠き込み「バードマウス加工」を入れることで接合部の面積が増し、しっかりと接合することができます。
【バードマウス加工とは】
木造住宅で垂木に入れる欠き込みをバードマウス加工(バーズマウス)という。
「鳥のくちばし」から由来している。
垂木の傾き(屋根勾配)を壁の上枠などの水平材と密着させて接合するためにバードマウス加工を行う。
垂木9本を毎回、2寸勾配の角度をけがくのは面倒なので、テンプレート(定規)を1枚つくりました。
テンプレートのおかげで、きっちり同じ角度でけがきできます!!
切り欠きは、まず自作丸ノコ定規と丸ノコを使います。
最後にレザーソーでカット!
片流れ屋根の2寸勾配に合わせたバードマウス加工のできあがり。
テンプレートをつくってから、けがいたので切り欠きの精度もいい感じに仕上がりました!
垂木の上端部は、地面に対し垂直となるようにカットします。
この垂木上端部の角度も2寸勾配に合わせれば、地面に対し垂直にすることができます。
垂直になった面には、後々、破風板(はふいた)を取り付けます。
屋根下パーツ 垂木(通気層・断熱層)合板取付
2×6材の垂木に通気層を設けるために、図の『合板12mm厚』(オレンジ色)を取り付けます。
合板12mm厚(オレンジ色)の部分は、断熱層になるところ。
合板取り付け位置を垂木の両側にけがきます。
垂木(2×6)幅140mmに対し、通気層30mm・合板(断熱層)90mm・天井面20mmとなる配分です。
合板1枚(1,820×910×12)を幅90mmでカット。ここはホームセンターのカットサービスを利用しました。
合板の上端部は、垂木上端部同様に2寸勾配で斜めにカットします。
加工した合板を垂木に取り付けます。
取付には、木工用ボンドを塗布してからマキタ充電式電動工具「ピンネイルPT353」で仮止めしてます。
今までこのような場面では「隠し釘」を使っていましたが、さすがに打つ量も多いのと今後も家具系のDIYに活躍すると見込み思い切ってマキタ「ピンネイルPT353」を購入しました。
念のため数か所ビス留めもしてます。
垂木に合板を取り付けた状態です。
垂木5本の両側、けらば(南北)2本の片側に合板を取り付けました。
新アイテム マキタ 充電式電動工具(ピンネイル、ドリルドライバ)
屋根下パーツ 面戸板(めんどいた)
【面戸板(めんどいた)とは】
「面戸(めんど)」とは「隙間」または「隙間を塞ぐ材」という意味。軒桁とその上に掛かる垂木との高低差から生ずる長方形の隙間を埋めるために軒桁の上に入れる板(面戸板)のこと
面戸板は屋根下の通気層(断熱層)の両端部となるので、屋根勾配(2寸勾配)に合わせた加工をします。
丸ノコ刃の角度を調整して、面戸板の底面側にガイドをあてると安定したカットができます。
屋根勾配に合わせてキレイにカットできました。
面戸板の寸法に合わせてカットして部材完成です。
この写真は、試し切りした端材で角度チェックの様子です。
横からの角度チェック!合板と面戸板のラインが決まってますね!
Good job!!
屋根下パーツ ころび止め
垂木と垂木の間に1箇所2×4ころび止めを入れます。
ここは通気層のために張り付けるパネルの繋ぎ合わせをする箇所となります。
仮置きした様子です。
2×4材で6パーツつくりました。
屋根下パーツ けらば垂木
続いて「けらば垂木」のパーツをつくります。
最終的には、図の緑色の部分(はしご状)のものを組んで、けらば側壁パネル上に乗せて、けらばを張り出します。
けらば垂木は屋根傾斜に直角つまり斜めなので、倒れないよう「ころび止め」を間に挟む複雑な構造です。
【けらばとは】
軒外から見ると斜めに見える方向の部分です。(軒側の直角方向、棟木や母屋の断面が見える方向、雨樋が付かない方向)
軒の出同様に、けらばも張り出し部分が長いほど風雨が入り込みにくくなり、建築物の耐久性も増加します。
ツーバイフォー工法では基本的に母屋や桁を張り出させないので「けらば垂木」という、梯子状のものをけらば側壁パネル上に乗せて、けらばを張り出します。
「けらば垂木」はしごステップにあたる部分を加工します。
一部切り欠いている箇所は屋根下通気層となる部分です。
このタイミングでけらば垂木に間に挟む「ころび止め」も寸法に合わせてカットしておきます。
すべてではありませんが仮組みすると、こんな感じ。
南北対象に「はしご状のけらば垂木」を2セット組みます。
ここでもクランプと【stax tools】クランピングスクエアズが大活躍!!
多少の材のねじれや反りであれば補正してビス打ち出来ちゃいます。
【けらばの役割】
1.日当たりを防いでくれる
2.雨漏りを防ぐ
3.外壁の劣化を防ぐ
屋根下パーツ 破風板・鼻隠し
片流れ屋根の上側(東側)は「破風板」、雨樋を取り付ける下側(西側)は「鼻隠し」といいます。
塗装はキシラデコール2度塗り。
2か所とも同じ部材を取り付けますが、上手と下手で名称が変わるんですね!
寸法4,490mmのところに2×6材2本をつなぎ合わせて取り付けます。
つなぎ合わせる理由は、長さ12f/3,650mm以上の2×6材がホームセンターでは手に入らないからです。
斜めカットした部分を互い違いに重ね合わせてつなぎます。
仮組みしてつなぎ合わせた状態で、取り付け寸法4,490mmに丸ノコでカットします。
南側・北側の破風板(軒外から見ると斜めに見える方向の部分)については、杉・破風板4,000×180×30mmをキシラデコールを2度塗りして長さ3,640mmで取り付けます。
2×6材のけらば垂木(はしご状)をそのまま破風板としても良かったのですが、誤ってバードマウス加工して切り欠いてしまったこともあり、杉・破風板を重ねて合わせて張ることに!
強度的には2×6材のままでも問題なかったと思います。
使用した材料、工具類
使用した材料
・2×6材
・2×4材
・構造用合板 1,820×910×12 1枚
・杉:破風板 3,640×180×30 2本
・塗料:キシラデコール(ピニー)
使用した工具類
・ピンタッカ
・ドライバドリル
・丸ノコ
・丸ノコガイド定規
・インパクトドライバ
・クランピングスクエアズ
・F型クランプ
・シンワ曲尺 厚手広巾ストッパー付 15㎝
・シンワ曲尺 厚手広巾 50㎝
・シンワ 水準器
片流れ屋根「小屋組」(こやぐみ)の工程その1「屋根下パーツづくり」いかがだったでしょうか。
いろいろと工程が多く、想定していた以上に時間がかかりますね。
次回は、小屋組み:屋根下の垂木などのパーツを組み上げていきます。
「ひとりde小屋づくり」想いがカタチになっていく工程が、すっごく楽しいですね!!
少しずつですがのんびり小屋づくりをすすめてます。
応援してもらえると励みになります。
※基本的に素人施工なので技術的に保障されるものではありません。参考とされる場合、くれぐれも自己責任で施工して楽しんで下さい。